平成22年度初頭の研修は、当院の修復治療の主流になったコンピュータ支援歯科治療の最先端を垣間見ることから始まりました。セレック修復は既に日本においても最先端歯科治療で院内外に標榜が可能になっています。
今までの治療の考え方と大きく異なり、光学カメラの撮影によって歯型を採取、歯科用CAD/CAM装置でわずか15分程度でセラミックの被せ物を製作します。これに最新の接着技術を応用し、自然な歯と同じような感じまで修復が可能になっています。
このセレックコンピュータ支援治療の第一人者の一人でもあり、またかねてから継続して当院の技術顧問でもある、東京医科歯科大学補綴科の風間龍之介先生にお越しになっていただいて、講義をして頂きました。
風間先生の講義は過去にも何回か受けており、 当院でもセレック コンセプトを理解し患者さんに自信を持って推奨しています。風間先生の講義のおかげで、年々、症例数は飛躍的な増加傾向にあり経過年数は短い(4年未満)ですが、臨床成績は患者、医院、双方が満足いくものと実感しています。
風間先生は、昨年よりCAD/CAM応用歯科研究の最高峰、スイスのチューリッヒ大学に留学し、CERECの研究および臨床をされていましたが、今回一時帰国するということで、スイスの留学の経過報告や、ヨーロッパの最先端歯科事情について講義をして頂きました。
スイスは、ドイツの肩を並べる世界有数のバイオジェネリック技術立国であり、なんと先端技術修得も歯科医学生のカリキュラムに既に組み込まれています。次世代の歯科医師を育む風土も素晴らしく、歯科医学生のために先端の知識と技術修得に関わる医療環境が充実しています。国家をあげて質の高い歯科医師養成に取り組んでいる様子が伺えます。
以前の研修先のEU諸国もそうでしたが、国際的にみて先進国簡では歯科治療がとても充実しており、その国家に属する国民の口腔内を診ると、その国の豊かさが良く分かります。そして、高精度な治療に必要な、1通院あたりの所要時間は2~3時間が普通であり、当然のように国民から受け入れられています。多くの国において治療にかかる費用は完全自己負担であります。日本のように20~30分以内の診療などは到底考えられないようです。
今回、初期ロットも終わりバージョンアップしたコンピュータマシンのセレックACの臨床投入後の検証および解説をしていただきました。最新の口腔内直接撮影カメラの技術力で、年内にも印象材による歯型の再現がなくなるでしょう。新しい補綴流用としてブリッジワークが組み込まれることになりそうです。また驚くことに技工もデジタルで再現、いよいよ医院を挙げて直接修復を基幹医療にする予定であります。なぜなら医学、生物学的にセレック直接修復が他の治療法と比較して、最も歯や身体に優しい治療であるという点で優位差が明らかであるからです。本年度中にチューリッヒ大学で座学、本場と同じ臨床実践のための人材の派遣を決定しました。
我々の追求する歯科医療の未来は、とても明るく希望に満ち足りた世界が待っていることを確信できました。 当院は最先端デジタルデンティストリーの分野を積極的に学び取り入れ、その治療利益を来院される患者さんに享受したいと思います。
セレック治療 担当歯科医師
麻生幸男 高橋和寛 高橋玄
眞野 晃寿 後藤 沢子