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Dr.Franck Renouard来日記念講演会

6月20日東京国際フォーラムにて、私、麻生と眞野で恩師、古賀 剛人先生が主催したDr.Franck Renouard来日記念講演会に出席しました。Dr.Franck RenouardはEAO(ヨーロッパインプラント学会)前会長でインプラント治療の世界的エキスパートです。余談ですがポルトガルのリスボンの同世界的権威のパウロ マロ先生とはワイン農場の経営でも張り合っています。氏の方がニームという避暑地で先に手がけていた事実は余り知れ渡っていませんが。かの地は画家ミレーが愛した牧歌的で優雅な場所であり、先生ご夫妻は何処まで平坦で肥沃な土地を気に入っておられて酒蔵工場の屋上からみた風景を世界の屋根であるといって説明してくれたことを覚えています。

演題は『上顎臼歯部へのインプラントの判断基準/ショートインプラントの限界とサイナスグラフト』というタイトルで、最もリスクが高いインプラント治療部位に、高い確実性を持ったインプラント治療を行うにはどのような基準や考えで挑むべきか。日本の著名なインプラント臨床家とディスカッションが開かれ150名以上のインプランティストが集まりました。一昨年前に、古賀先生にご一緒させていただいて、プライベートでパリのレノアー先生のオフィスにいき、短いインプラントを使用する際の実際の手術手技やその有効性について、徹底的にハンズオン研修を受けました。今回はその時の復習と長期経過について、症例にて解説をまじえ勉強させていただきました。

上顎臼歯部(奥歯)部のインプラント治療は骨量が少ない上に、その奥歯の上の骨の中には空洞(上顎洞)があるため難易度の高い治療部位とされています。我々も、骨が少ない場合には、ショートインプラント(8mm以下)もしくは骨を増やす手術(サイナス・グラフト)を行うかどうか非常に考えさせられる場合があります。

 今回の講演でもっとも考えさせられたのは、手術の成功確率ばかりに目を向けるのではなく、手術にはリスクもあり、メリットとデメリットのバランスを考えて治療計画を立案するということでした。

講演会のシンポジストであった東京医科歯科大学インプラント科教授の春日井先生は、『インプラント治療によって医原性のダメージを与えてはならない。手術の結果ばかりではなく、いずれ撤去する時の事も考えた治療を考慮して考えていく必要がある。』といっていました。 ショートインプラントの臨床応用にいたっては、今までのインプラント治療で教えられてきた考えと異なっているにもかかわらず、患者さんの治療により得られる医療利益で考えた場合、その効果が各段高く、一同頭をハンマーで殴られたような衝撃が会場をおそっていました。

講演の最後にレノアー先生から素晴らしい言葉を送っていただきました。
 『我々は夢の世界にいるのではなく、医療界という現実にいる。近年、一部の技術志向者や大きな学会の発表者は、そのテクノロジーの凄さを強調する傾向があり、さながら作品創造の展示会の様相だ。 臨床家はそれに惑わされてはいけない。実際には様々なリスクや偶発症が存在する。クリニックにいる時は、医師として物事を考えろ。常に最もシンプルだと思う、システム 手技を繰り返し繰り返し使用すべきである。』

 私はハッとしました。病気が『治る』ということより歯科医師は自分の手で『治す』ということに歯科医療の重点を置きすぎているのではないか・・?医師としての立場で疾病管理プログラムの一環としてインプラント治療を考える時がきている、といっているように解釈しました。当院ではインプラント治療が中心になることは断じてありません。

私は歯の欠損という障害の回復よりも、なぜ歯を失うにいたったのかをよく考え、それを教訓にして、歯を失わないために患者さんの口腔をどのように守り、いかに長期に管理すればいいか内科的に考える歯科医療を柱にすえています。どれほどインプラント臨床を専門的におこなっても、その姿勢は不動であります。先生からその課題を与えられた気がしてなりませんでした。

 麻生 幸男

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